腰痛の原因を徹底解説!症状に応じた腰痛ストレッチやトレーニングをご紹介
腰痛つらいですよね。私も腰痛に悩んでいる時期がありました…
理学療法士の知識を活用し、ストレッチやトレーニングをする事で腰痛は改善しました。
腰痛がヒドくなった時や辛い時にどう対処するか、腰痛を予防していくかが大切です。少しでも腰痛に悩む方に有益な情報をお届けしたいと思います。
この記事では、まずは腰痛の原因をご紹介し、ご自宅でも出来るストレッチやトレーニングをご紹介します。
この記事はこのような方にオススメです!
- 自分の腰痛について詳しく知りたい方
- 腰痛を改善する具体的なストレッチやトレーニングを知りたい方
- 今後、腰痛を予防していきたいと思っている方
腰痛の原因を整理してみよう。
日本全国に腰痛のある人は約3,000万人と推計されています。
腰が痛いという症状だけでも痛みの部位や種類は千差万別です。
まず、腰痛の原因は特異的腰痛と非特異的腰痛に分けられます。
特異的腰痛とは医師の診察および画像の検査(X 線や MRI など)で腰痛の原因が特定できるものです。例えば、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、感染性脊椎炎、圧迫骨折など明らかに器質的な変化や炎症が生じている状態と言えます。
非特異的腰痛は特異的腰痛とは逆に医師の診察および画像の検査(X 線や MRI など)で腰痛の原因が特定できないものです。明らかな所見がみられないと言えます。
衝撃的かも知れませんが、1992年に行われた米国の調査では腰痛の85%は非特異的腰痛でした。繰り返しますが、医師の診察および画像の検査(X 線や MRI など)で腰痛の原因が特定できないものが85%を占めています。X線やMRIといった情報では分からないことが腰痛の殆どの原因であると言えますね。
参考文献:What can the history and physical examination tell us about low back pain? JAMA 268: 760-765, 1992
しかし、近年では腰痛診療ガイドライン2019によると日本における整形外科専門医が腰痛原因を詳細に調査した報告によると診断不明の非特異的腰痛は22%と記載されています。残り78%の内訳は椎間関節性22%、筋・筋膜性18%、椎間板性13%、狭窄症11%、椎間板ヘルニア7%、仙腸関節性6%であり腰痛の原因がある程度、明らかになってきています。
参考文献:腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)
上記に記載したそれぞれの腰痛原因を解説していきたいと思います。
腰を反ると痛む… 椎間関節性
椎間関節性腰痛は脊椎の椎間関節の変性や関節ストレスが要因で椎間関節に炎症が起きて痛みが発生していると考えられています。以下に椎間関節性腰痛の主な特徴を説明します。
症状としては
- 背骨付近が痛む
- 腰を反らすと痛い
- 腰を捻ると痛い(スイング動作など)
- 背中を反らし、上半身を捻ると痛い
- 前屈み姿勢から元に戻ろうとすると痛い
上記の様に椎間関節を圧縮する様な動き、身体を反る捻る動きで痛みを感じやすいです。
椎間関節の炎症は根本的に椎間板の変形が原因となりやすく、炎症症状の抑制と椎間関節の負担を減らす様にすることが必要です。
椎間関節症に関しては安静や装具療法(コルセット)、内服治療、椎間関節ブロック(痛み止め注射)など炎症の緩和と炎症が再燃しないような治療が基本です。炎症による痛みが生じている為、積極的に運動やトレーニングは行わず、状態が安定してからストレッチや筋力強化を行い、関節への負担を軽減していくことが重要となります。炎症により痛みが強い時期の最低限の運動は必要ですが、積極的な運動やトレーニングは良くないでしょう。
腰が張るダルくなる… 筋・筋膜性
筋・筋膜性腰痛は、筋肉や筋膜(筋肉を包む薄い膜)に起因する腰痛です。この状態は、筋肉の緊張、筋膜の引きつれ、またはその両方によって引き起こされることがあります。
筋肉の周りには筋膜と呼ばれる薄い膜が張っていて、全身に張り巡らされています。身体を支える機構として筋膜は重要な役割を果たしています。
特に背中や腰には胸腰筋膜という膜が張っていて、舟の帆の様に背中が丸くならない様に各筋肉を繋ぎ張力を保っています。また胸腰筋膜は背中、腰の筋肉に止まらず、腹横筋や内腹斜筋などお腹を締める筋肉とも連結しており、コルセットの様に体幹を安定させています。
そのため、姿勢や疲労など慢性的な使い過ぎの影響を受けやすく、腰の筋肉に過剰な負担が掛かる場合に筋・筋膜性腰痛が生じやすいでしょう。
症状としては
- 腰全体が痛む
- 腰周りが硬く、動かしにくい
- 朝起き上がるときに痛みが強く起き上がりにくい
- 立っていて動く際など鈍痛が生じる
- 運動中や運動後に痛みが強くなる
上記の様に背中や腰の筋肉に力が入る時や使い過ぎによる症状が顕著です。
筋・筋膜の緊張を緩和させる事が腰痛改善に重要となるでしょう。
そのため、トレーニングやリラクゼーション、ストレッチが有効になります。また、ライフスタイルによる影響も大きいため、重量物の持ち方や環境設定、座る時間の短縮など背中や腰の筋肉自体への使い過ぎを減らす工夫も必要です。
筋・筋膜性腰痛に有効な腰痛トレーニングの1つとして、キャットアンドドッグをお勧めします。
痛みが強い方は、痛みが少ない範囲で少しずつ動かしていくと良いでしょう。慣れてきたら、しっかりと腰を曲げ伸ばししましょう。
前屈みの瞬間が辛い… 椎間板性
椎間板腰痛は椎間板の損傷により生じた炎症を起因に発生する腰痛です。主に加齢や物理的な負荷による椎間板の変性が原因であると言えます。
椎間板は座り姿勢や前屈で負荷が掛かりやすく、前屈姿勢を減らすことや前屈した際に膝を使う様な動作学習や股関節の可動域を広げる事がとても重要です。
椎間板性腰痛の症状としては
- 座ると痛い
- 腰を前に曲げた時に痛い
- 腰を伸ばした方が楽
- 座りっぱなし、立ちっぱなしなどの同一姿勢で痛む
椎間板への負担(内圧が高まる)が掛かる動きや姿勢で症状が出現します。
Nachemsonの報告では、立位に比べると立って前傾(前屈み)姿勢は約1.5倍、立って前傾で荷物を持つ場合では約2倍、椎間板への負担(内圧が高まる)が掛かっている状態です。総じて前屈みの姿勢では椎間板への負担が大きく、荷物を持つと過剰なストレスが掛かっています。
繰り返しになりますが、腰痛、椎間板への負担を減らす為には前屈み姿勢を軽減させる事が必要です。屈む際の荷物の置く位置を高くする事、膝・股関節を使う様に屈み動作を行う事やお腹に力を入れてから荷物を持つなど様々な工夫をする事で椎間板への負担を減らす事が可能です。
ここでは椎間板への負担を減らす為に体幹(お腹周り)を鍛える腰痛トレーニングを1つご紹介します。
立ったままや歩き続けると苦しい… 狭窄症
腰部脊柱管狭窄症は、腰部(腰椎)の脊柱管が狭窄することで生じる症状です。脊柱管とは、脊椎骨によって形成される管状の空間で、この中を脊髄が通っています。狭窄(狭くなること)が起こると、脊髄や神経根が圧迫され、様々な症状が引き起こされます。腰部脊柱管狭窄症は60〜70歳代に多くみられ、推定患者数は約580万人といわれています。
加齢や脊椎の変形、椎間板ヘルニア、骨棘などにより生じることが一般的です。
脊柱管は腰を反らす様な動きや姿勢で狭くなります。常習的に反り腰気味の方は脊柱管が体質的に狭小しやすく、加齢に伴う退行変性(変形や変性)が合わさり症状が出やすいと考えられます。
狭窄症(腰部脊柱管狭窄症)の症状としては
- 歩くと痛むが座ったり前屈みで休むと症状が消える(神経性間欠跛行)
- 太ももやお尻の痺れや痛みや灼熱感がある
- しばらく立っているだけで痺れたり痛くなったりする
特徴的な症状として姿勢によって状態が変わるという事でしょう。脊柱管が広がる姿勢では症状が軽減する事が多いです。前屈み姿勢では脊柱管が広がるので症状の緩和がみられます。
退行変性により脊柱管の狭窄が生じている影響が強い場合は外科手術が必要になる可能性もあるので近くの整形外科クリニックや病院等で医師からの診察を受けましょう。
まずは反り腰を少しでも改善する事が必要になるでしょう。
反り腰の原因は①体幹の筋力不足②股関節の可動域不足が考えられます。勿論、身体により原因は様々ですが、主に①.②のどちらか、もしくは両方が原因であるといえるでしょう。①はお腹を引っ込める力が弱く、お腹が前に出やすく反り腰になると捉えて下さい。②は股関節が十分に伸びず、曲がっている状態では身体が前屈み気味になります。身体を真っ直ぐする為には股関節が伸びない為、自ずと腰を反って補う状態にあります。
①と②の原因にフォーカスして対策や予防をする事が重要です。
体幹筋力は上述の椎間板性腰痛の章で紹介したプランク運動でトレーニングを行う事ができます。
股関節の可動域は特に伸展可動域を広げる必要があります。伸展可動域とは足(股関節)が後ろに動く範囲のことです。そのためには、太ももの前の筋肉を中心に柔軟性を獲得する必要があります。
ここでは太ももの筋肉である大腿四頭筋のストレッチをご紹介します。
ストレッチは約30秒間、伸張すると徐々に筋肉が緩んできますので、続けてみましょう。股関節がしっかりと伸ばせた状態で生活できると脊柱管の狭窄も緩和できます。お腹を鍛える事と股関節の柔軟性を改善する事で腰痛の予防と改善を目指しましょう。
若くて重労働している男性はこれかも… 椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、椎間板の中に存在する髄核というゲル状の組織が椎間板を破り外に飛び出したり迫り出した状態です。(下記のヘルニア概要図参照)
20〜40代の若い男性が発症しやすく、作業や労働の環境が影響しており腰部への負担が影響しているを受けます。ヘルニアにより神経が圧迫される事で腰痛や下肢の痺れや痛みが生じます。重度になると感覚障害や運動障害が生じます。
椎間板性腰痛と一緒じゃないの?と思う方もいるかも知れません。違いを簡単に述べると椎間板性腰痛は線維輪自体の変性や損傷による痛みです。椎間板ヘルニアは椎間板を押し出し神経に触れる事で生じる痛みと言えます。ですので、「神経因性疼痛」と呼ばれる神経の障害から起こる痛みに分類されます。
椎間板ヘルニアの症状としては
- 左右どちらかの太ももや足全体に痛みが生じる。
- 背中を伸ばしたり、寝ている時は楽になる。
- 前に屈むと太ももや足にかけて痛みや痺れが起きる
原因としては、椎間板への負担(内圧上昇)にあります。
椎間板性腰痛でも述べた様に重量物の運搬や前屈み姿勢の作業で負担が掛かります。作業内容の調整や作業動作の修正、体幹を鍛える事で予防が必要となります。
また、急性の椎間板ヘルニアが生じた場合は強烈な痛みが生じ歩行困難な状態に陥る方もいます。その様な場合は病院を早急に受診し、治療を受ける事が重要です。
今回はヘルニアで生じやすい太ももや足への坐骨神経症状に対して有効なストレッチ動画を推奨します。
動画のストレッチにより腿裏の筋肉であるハムストリングスが柔軟になると前屈み姿勢での腰への負担を軽減できるので坐骨神経症状の改善もでき一石二鳥です。
片側のみに症状があり女性に多い… 仙腸関節性
仙腸関節性腰痛は、仙腸関節が緩んだり、負担が繰り返し掛かる事で痛みが生じます。特異的腰痛の約6%を占めると言われています。まず、仙腸関節はどこかご存知でしょうか?骨盤を構成する仙骨と腸骨を繋ぐ部分にある関節です。(下記イラスト図参照)
仙腸関節による腰痛は、出産後の腰痛に多いと言われています。しかし、老若男女問わず生じる腰痛であり、特徴的な痛みが生じますので、自身に当てはまらないかチェックしてみて下さい。
仙腸関節性腰痛の症状としては
- お尻や鼠径部付近の痛み(片側のみ)
- 痛みが生じる側を下にして寝ると症状が出る
- 痛みの箇所が仙腸関節付近であり、指1本で差し示せる
- 前屈みや後ろに反った時、腰を捻った時に痛みが強く生じる
対症療法になりますが、コルセットを巻くと症状が軽減される方も多いです。
仙腸関節の問題はレントゲンやMRIで明らかな異常が見られず、診断が難しい傾向にあります。症状や産後から腰痛が悪化したり生じた方は要注意ですね。
仙腸関節腰痛はコアと言われる、腹横筋、内腹斜筋、多裂筋筋などのインナーマッスルが弱い事が多く、お腹を締める機能不全が生じています。また、歩行や生活で足が付き突き上げてくる反力に対して、しっかりと骨盤や身体全体を支えるために大臀筋等の筋力強化も有効です。
骨盤を安定させる為には下肢と体幹を安定させる事が必要です。
仙腸関節腰痛の改善のためにインナーマッスルの中でも腹横筋を鍛えるドローインとお尻の筋肉を鍛えるヒップリフトの2つをご紹介します。
どの腰痛にも効く!オススメの腰痛ストレッチ
皆様、どうでしたか?
自分がどれに当てはまるか、類似した症状などあったでしょうか。
腰痛には様々な種類がありますが、多くの腰痛に関連している筋肉や原因があります。まとめとして、どれか分からないという「あなた」に向けて、少しでも腰が良くなる腰痛ストレッチ、腰痛トレーニングをご紹介いたします!
まず、腰痛に関わる筋肉、ハムストリングス、大臀筋、中臀筋、梨状筋、広背筋、これらの大きな筋肉のストレッチをご紹介します。腰痛自体の疼痛緩和は勿論ですが、柔軟性が乏しい事から腰の負担も生じている動作も多々あるので、それらを包括的に対策するメニューになります。
上記の3つを週3日からやってみましょう。腰・背中や股関節周りの筋肉がほぐれる事で腰痛の緩和や変化が現れるはずです。
また、併行して動作や生活習慣の改善もとても大切になります。
週に3日以上は散歩などの有酸素運動を行う、30分以上は連続して座らない、重い物を持つ際には事前にお腹に力を入れるなど、少しの生活の変化が効果的になります。
腰痛の原因と対策まとめ
最後にまとめになります。今回は各腰痛の原因や腰痛トレーニングや腰痛ストレッチについてご紹介しました。
簡潔に下記にまとめると・・・
- 腰痛は原因が定かである特異的腰痛と原因が定かではない非特異的腰痛に別れる。
- 特異的腰痛は椎間関節性、筋筋膜性、椎間板性、狭窄症性、椎間板性、仙腸関節性に分けられる。
- それぞれにあったトレーニングやストレッチが必要だが、分からなければ、「オススメの腰痛ストレッチ」をすれば腰痛を緩和できる。
- 腰痛予防には定期的な運動や作業環境や習慣の調整なども重要である。
- 急性の堪え難い痛みや歩行障害や感覚障害が生じた場合は迷わず病院を受診しよう。
以上になります。今回は腰痛に関して原因別にまとめてみました。それぞれにオススメのトレーニングやストレッチ動画を載せていますので、是非ご活用ください。
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